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2025年12月26日
タイムカードを廃止するには?勤怠管理システムに移行するメリット・デメリットや進め方

紙のタイムカードで勤怠管理を続ける企業では、集計作業や打刻漏れへの対応、保管スペースの確保など、日々の業務に見えない負担が蓄積しています。
働き方が多様化する中、従来の方法では正確性や効率性を維持することが難しくなりつつあります。
一方で、タイムカードを廃止したくても法律上の問題(※タイムカードそのものの使用は法律で義務付けられているわけではなく、適切な勤怠管理さえ行えば違法ではありません)や勤怠管理の方法、費用対効果への不安から踏み出せない企業も少なくありません。
そこで本記事では、タイムカードを廃止したい中小企業・大企業に向けて、法的なポイントや代替手段、コスト削減効果などを分かりやすく解説します。
タイムカード廃止を検討する背景・課題

タイムカードを使い続けることで、主に次のような課題が生じています。
- 紙のタイムカードの管理コストがかかる
- 打刻漏れ・不正打刻のリスクがある
- 勤怠締め作業の負担がかかる
各課題について、以下から順に詳しく見ていきましょう。
紙のタイムカードの管理コストがかかる
多くの従業員が利用する紙のタイムカードは、月ごとに枚数が増えていき、長期間にわたって保管するための手間とコストがかかります。
法律上、タイムカードなどの労働時間の記録は、原則として5年間(当分の間は3年間)保存する義務があり、全従業員分を保管するには相当のスペースと管理コストが必要になります。
(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
引用元:労働基準法 | 第109条
たとえば、従業員が多ければ、毎月一人一枚のカードが蓄積されていくため、広い保管場所を確保しなければなりません。
また、紙のタイムカードには個人情報や労働時間の記録が含まれるため、安易に人目に触れないよう厳重に管理する必要があることも見えない負担といえます。
打刻漏れ・不正打刻のリスクがある
タイムカード運用では打刻の押し忘れや代行押下(不正打刻)といったリスクが常につきまといます。
忙しい時期には出退勤の打刻自体が本来業務と直接関係のない「付帯作業」になるため、つい押し忘れてしまうケースが珍しくありません。
打刻漏れが発生すると、多くの職場では一定のルールのもと手書き修正を認めざるを得ず、結果として実際の労働時間と異なる時刻を書き込んでしまうミスや不正の温床にもなりがちです。
たとえば、従業員に悪意がある場合、退勤時間を実際より遅い時刻に書いて残業時間を水増ししたり、逆に早い時刻に書いて「サービス残業」をしたりと、本人申告に頼る手書き修正では正確性を担保できません。
また、タイムカードは本人以外でも打刻できてしまう点も問題です。
遅刻しそうな社員が同僚に頼んで代理で打刻してもらう、すでに退勤している社員のICカードを使い、別の社員が後から退勤打刻を行う、といった不正は現実に起こり得ます。
タイムカード自体には「誰が押したか」の証明手段がないため、こうした代打ち(なりすまし打刻)の防止が難しいのです。
以上のように、紙のタイムカード運用では打刻ミスや不正を完全になくすことが難しく、勤怠記録の正確性が損なわれるリスクが常につきまといます。
勤怠締め作業の負担がかかる
紙のタイムカードでは毎月の勤怠締め日に担当者が全社員分のカードを回収し、出退勤時刻をExcel等の集計ファイルに転記して集計する必要があります。
手作業による集計工程は時間がかかり、担当者の負担となっている点が課題です。
タイムカードを見ながらの入力作業はミスが起きやすく、ダブルチェックなどの対策を講じても誤った労働時間が集計されてしまう可能性があります。
仮に誤った勤怠データで給与計算が行われれば、本来支払うべき賃金の未払いが発生し、従業員の不満や労使トラブルに発展しかねません。
さらに雇用形態や勤務形態が多様な企業では計算ルールも複雑になるため、集計に膨大な時間を要しがちで、管理者の生産性低下も招く恐れがあります。
このように、紙のタイムカード運用は月末の締め処理に多大な工数を割く非効率な仕組みになってしまっています。
タイムカード廃止後の勤怠管理方法

タイムカードを廃止した後、勤怠管理をどのように行うかについては、主に次のような方法が採られています。
- クラウド勤怠システム(PC・スマホ・タブレット打刻)
- ICカード・社員証による打刻
- PCログオン・ログオフ連動型の勤怠記録
では、それぞれの勤怠管理方法について、ここから詳しく見ていきましょう。
クラウド勤怠システム(PC・スマホ・タブレット打刻)
パソコンやスマートフォン、タブレットなどからWeb上のシステムにアクセスして打刻するクラウド型の勤怠管理システムです。
打刻と同時に勤怠データがクラウド上に蓄積され、出勤日数・労働時間・残業時間などがリアルタイムで自動集計されます。
残業申請や休暇申請、上長の承認フローも同じシステム上で完結できるため、紙のタイムカードでは難しかった正確な管理と業務効率化の両立が容易になります。
もちろんテレワークや直行直帰など場所にとらわれない働き方にも対応可能で、会社に出社せずとも自宅や外出先から勤務時間を記録できる仕組みです。
実際に多くの企業がこうしたクラウド勤怠システムを導入しており、紙のタイムカードからの移行が急速に進んでいる方法です。
ICカード・社員証による打刻
ICカードや社員証を勤怠レコーダーのカードリーダーにかざすだけで出退勤が記録される打刻方法です。
使い方がタイムカードと似ているため操作に迷いにくく、紙のタイムカードからも違和感なく移行できます。
たとえば、既に社員証としてICカードを配布している場合はICカードをそのまま勤怠打刻に利用でき、タイムカードと同様の感覚で導入できます。
工場や店舗などスマホを業務で使いにくい職場でもカードをかざすだけなので受け入れられやすく、幅広い業種で導入しやすい方法です。
記録された出退勤データは自動的にシステムへ集計・蓄積されるため、集計作業の手間も大幅に削減できます。
クラウド型と組み合わせればリアルタイム集計も可能になり、紙運用に比べ圧倒的に効率的です。
PCログオン・ログオフ連動型の勤怠記録
従業員のパソコンへのログオン時刻やログオフ時刻を、そのまま出勤・退勤の打刻時刻として勤怠データに記録する仕組みです。
主にオフィスワーク中心の企業で利用が広がっています。
社員がPCにログイン・ログアウトした履歴を自動取得して勤務時刻として記録できるため、業務開始と終了のタイミングが客観的なデータとして残ります。
打刻操作を人が行う必要がなく、ログオン・ログオフ自体が打刻情報となるため打刻忘れを防げるのもメリットです。
テレワーク環境で自宅のPCを使って業務する場合でも自動で勤怠記録を残せるため、場所に依存しない勤怠管理としても最適です。
日常的にPCを使う従業員が多い企業では、既存のPC利用環境をそのまま活かせるため、PCログ連動型が運用しやすい勤怠管理方法となります。
タイムカードから勤怠管理システムへ移行するメリット

タイムカードを廃止し勤怠管理をデジタル化(勤怠管理システム導入)することで得られるメリットには、次のようなものがあります。
- 集計作業の自動化で業務効率化を図れる
- 不正打刻(代打ち)を防止できる
- 打刻ミス(漏れ・二重打刻)の減少につながる
- テレワークや外出先でも打刻ができる
- 管理コストが削減できる
では、こうしたメリットについて順に見ていきましょう。
集計作業の自動化で業務効率化を図れる
勤怠管理システムでは従業員の総労働時間や残業時間、休暇取得状況などがすべて自動集計されます。
タイムカード時代のようにExcelへ手入力で転記する必要がなくなり、転記ミス・計算ミスも防止可能です。
月末の勤怠締めにかかっていた時間は劇的に短縮され、人事・労務担当者は煩雑だった集計作業から解放されます。
さらに、勤怠システムによっては給与計算ソフトと連携できるものもあるため、勤怠集計から給与計算まで一元管理することも可能です。
このように、集計業務をシステム化することで業務効率化が期待できます。
不正打刻(代打ち)を防止できる
勤怠管理システムには、ICカード認証・指紋認証・顔認証などによる本人確認機能が用意されています。
生体認証を用いれば本人以外は打刻できないため、タイムカードでは防ぎにくかった他人による代打ちを確実に防止可能です。
また、GPS機能やモバイル打刻の場合は位置情報記録によって「どこから打刻したか」を把握することも可能で、不正な遠隔打刻の抑止につながります。
さらにシステム上で打刻情報の修正申請を行う仕組みを採用すれば、修正履歴(ログ)が管理画面に残るため、誰がいつ修正したかも明確です。
上長の承認フローと合わせて運用することで改ざんのリスクも大幅に低減でき、正確な勤怠データ管理が実現します。
打刻ミス(漏れ・二重打刻)の減少につながる
勤怠管理システムでは打刻状況がリアルタイムでモニタリングされるため、押し忘れ(打刻漏れ)や二重打刻などのミスが起きにくくなります。
仮に打刻し忘れた場合でも管理者が即座に気付き、本人に申告を促したり後からデータ修正したりと迅速な対応が可能です。
紙やExcelで後追い確認していた頃に比べ、ミスを早期に是正できる体制が整います。
また、多くのシステムでは二重打刻防止の仕組み(既に出勤打刻済みの場合は出勤ボタンを無効化する等)が備わっており、同じ時間を重複して記録してしまう事故も防ぐことが可能です。
打刻ミスそのものの発生率が下がるうえ、万一ミスが起きてもログをもとに容易に修正できるため、結果として勤怠データの信頼性が高まります。
テレワークや外出先でも打刻ができる
スマホやPCから手軽に打刻できる勤怠管理システムなら、出張先や取引先への直行直帰、自宅での在宅勤務など、社外での労働もタイムリーに記録できます。
従来はタイムカードの設置されたオフィスでしか出退勤を記録できず、直行直帰の場合は後日手書き申請するしかないといった不便がありました。
しかしクラウド勤怠なら場所を問わず打刻可能なので、そうしたケースでも正確な労働時間を残すことが可能です。
実際、テレワーク普及以降に勤怠管理システムを導入した企業は、「移動中でもスマホで簡単に出勤登録でき、後から入力する手間がなくなった」「リアルタイムにデータが反映されるので管理者側も勤務状況を把握しやすくなった」といった効果を報告しています。
このように、勤怠管理システムは多様な働き方への柔軟な対応を可能にし、企業の生産性向上にも役立ちます。
管理コストが削減できる
勤怠管理システム導入により、これまで紙で行っていたさまざまな作業コストを削減できます。
紙のタイムカードを発行・配布する費用や、何年も保管するためのスペース維持コストはシステム導入によってゼロにできます。
また、勤怠集計や給与計算ソフトへの転記にかかっていた人的工数(人件費)も大幅に減少させることが可能です。
紙からデジタルへの移行は、単に労務担当者の時間を節約するだけでなく、保管棚など物理的リソースを削減してオフィスの省スペース化にもつながります。
さらに、多くのシステムはクラウドサービスとして提供されるためデータのバックアップや法改正時のアップデートも自動で行われ、そうした面の管理コストも含めて総合的な削減効果が期待できます。
タイムカードから勤怠管理システムへ移行するデメリット

一方で、タイムカードから勤怠管理システムへの移行に際しては次のようなデメリットや注意点もあります。
- 導入コストが発生する
- 操作に慣れるまで時間がかかる
- システムの設定が複雑な場合がある
では、こうしたデメリットについて順に確認していきます。
導入コストが発生する
クラウド型勤怠管理システムの多くは有料サービスであり、導入に際して初期費用や月額利用料が発生します。
紙のタイムカード運用と比べると毎月のランニングコストが増加するケースが多く、規模によってはコスト負担が無視できません。
ただし無料で使えるシステムや低価格プランも存在するため、自社の規模や必要機能に応じて費用対効果を検討することが重要です。
また、コスト面だけでなく導入準備やシステム周知にかかる手間も発生します。
たとえば、クラウド勤怠を導入するタイミングでは旧来の運用との切り替え作業やデータ移行作業が必要となり、その間は一時的に負担が増える点も考慮すべきです。
操作に慣れるまで時間がかかる
新しい勤怠管理システムを使いこなせるようになるまで、従業員や管理者には一定の学習期間が必要です。
今まで紙でタイムカードを押していた方が、スマホアプリやPC画面での打刻操作に戸惑うのは当然といえます。
そこで多くの企業では、導入時に従業員向けの説明会を実施したりマニュアルを配布したりしています。
しかしそれでも運用開始直後は「押し間違えた」「申請をどこから出せばよいかわからない」といった混乱が起きやすく、初期段階では担当者がきめ細かなフォロー対応を行うことが必要です。
また、全従業員が毎日利用するシステムである以上、使い勝手の良し悪しが現場のモチベーションや業務効率にも影響します。
システムのUI(ユーザーインターフェース)が直感的でない場合、慣れるまでの間はかえって作業時間が増えるリスクもあるため注意が必要です。
したがって、導入後しばらくは従業員からの質問に迅速に答えたり、追加の研修を行ったりして、スムーズに定着するまで支援する体制を整えておくことが望まれます。
システムの設定が複雑な場合がある
勤怠管理システムは自社の就業ルールに合わせた初期設定を行う必要があります。
しかし、勤務形態やシフトパターンが多岐にわたる企業ほど設定作業が煩雑で難しくなる傾向があります。
たとえば、変形労働時間制やフレックスタイム制を導入している場合、残業計算のルールや休暇の扱いなど細かな条件をシステム上で再現しなければなりません。
初期設定の段階で、自社の勤怠管理ルールを細部まで洗い出し、該当するシステム設定項目を一つ一つ適切に調整する必要があります。
しかし実際には「どの設定項目が自社ルールのどの部分に対応するのかわからない」といったことも多く、試行錯誤に時間がかかるケースが少なくありません。
また、設定後には動作検証も行い、不備があれば修正するプロセスも必要です。
場合によっては専門的な知識を持つスタッフや外部のサポートを仰ぐことも検討すべき方法になります。
さらに、こうした複雑な設定を現場に展開する際には詳細なマニュアル整備も不可欠です。
全ての勤務パターンや例外ケースを網羅した手順書を用意するのは容易ではなく、準備に時間がかかって導入スケジュールが延びてしまうこともあります。
全体的に、システム導入に伴う設定作業は見落とされがちな負担であり、余裕を持った計画とサポート体制が必要となります。
タイムカードから勤怠管理システムへ移行するなら社労士に相談するのがおすすめ

タイムカードから勤怠管理システムへ移行する際は、まず社会保険労務士(社労士)に相談することで、自社に合った勤怠管理の仕組みを整えやすくなります。
社労士は労働基準法や働き方関連法にも精通しており、企業には従業員の労働時間を適正に把握する義務があること(労働安全衛生法第66条の8の3など)や、勤怠記録の保存期間(労基法第109条)など法的ポイントを踏まえたアドバイスを提供できます。
第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。
引用元:労働安全衛生法|第66条の8の3
(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
引用元:労働基準法 | 第109条
したがって、法令違反を防ぎながら運用できる点がメリットです。
また、シフト制度や複雑な残業計算ルールの設定についても専門的な視点から助言が得られるため、システム導入時の初期設定をスムーズに進めることが可能です。
結果として、ムリやムダのない自社に合った勤怠管理体制を構築することにつながります。
タイムカード廃止の進め方

タイムカードを廃止し、勤怠管理システムへ移行する際の一般的な進め方を次のステップごとに解説します。
- ステップ1:現状の勤怠管理フローと課題を整理する
- ステップ2:必要な機能を明確にし、導入目的を固める
- ステップ3:複数の勤怠管理システムを比較する
- ステップ4:運用ルールの整備と社内説明を行う
- ステップ5:試験運用を行い、改善点を確認する
- ステップ6:本番導入と定着のためのフォロー体制を作る
以上のステップを順に踏むことで、タイムカード廃止と新システム導入を円滑に進めることができます。
以下から、各ステップのポイントを詳しく見ていきましょう。
ステップ1:現状の勤怠管理フローと課題を整理する
まず現在の勤怠管理がどのような流れで行われているかを洗い出し、時間がかかっている作業やミスが起こりやすい部分を整理します。
紙のタイムカード運用で何が負担になっているのかを把握しておくことで、導入すべきシステムの方向性が明確になります。
また、現状の勤怠管理フローを整理することによって「本当に解決したい課題」が浮き彫りになれば、移行後の改善効果を判断しやすくなるのです。
現状フローの棚卸しでは、具体的な数値を出すことが重要です。
たとえば、「タイムカード回収から集計まで○時間かかっている」「○○の確認ミスが月に△件発生している」といった数値を示すと、課題の深刻度や優先度を共有しやすくなります。
ステップ2:必要な機能を明確にし、導入目的を固める
自社の勤務形態や運用ルールを踏まえ、勤怠管理システムに求める機能を洗い出します。
あらかじめ「これだけは必要」「これは不要」といった条件を整理しておきます。
たとえば、打刻方法、残業申請の手順、休暇管理の方法、シフト作成機能の要否などです。
必要な機能を明確にすることで「何のためにシステムを導入するのか」という目的も明確になります。
たとえば、「打刻漏れをなくしたい」「テレワークに対応したい」「集計を自動化して○時間削減したい」等の導入目的を具体化しておくことが大切です。
目的がはっきりすれば、導入後に得られる効果を社内に説明しやすくなり、プロジェクトの説得力も増します。
ステップ3:複数の勤怠管理システムを比較する
必要な機能と導入目的が固まったら、必要な機能と目的を実現できそうな複数の勤怠管理システムをピックアップして比較検討します。
システムごとに得意分野や特徴が異なるため、1社だけで決め打ちするのではなく、少なくとも2~3製品は候補に挙げて違いを確認しましょう。
比較にあたっては、使いやすさ(UIの分かりやすさ)や導入コストはもちろん、提供会社のサポート体制や将来の機能拡張性も重要なポイントです。
サポートが手厚ければ、導入時の不安が軽減されます。
さらに、機能拡張性が高ければ将来的な制度変更にも柔軟に対応可能です。
実際に導入した企業の事例や、口コミも参考になります。
しかし、自社の勤務形態に合うかどうかは自社で検討するしかありません。
自社の業種・規模・課題にマッチしたシステムかを軸に、総合的な視点で比較しましょう。
ステップ4:運用ルールの整備と社内説明を行う
新しい勤怠管理方法を導入する前に、システム上での打刻ルールや申請手順などを明確に定め、従業員に周知徹底しましょう。
ルールが曖昧なままだと、誰もが迷わず運用することは難しく、打刻漏れや申請遅れが続発して勤怠管理の正確性が損なわれてしまいます。
たとえば、「出勤時刻はPC起動と同時に自動打刻されるが、万一打刻されなかった場合は○○の手順で申告する」「残業申請は当日中にシステムから行い、上長が翌日までに承認する」といったルールを決め、文章化して全員に配布すると良いです。
その際、専門用語を避け平易な言葉で説明するマニュアルを用意すると安心できます。
運用開始前には操作方法の研修を実施したりマニュアルを共有したりしておくのがおすすめです。
従業員が新システムのルールを正しく理解できれば、混乱なく移行を進められます。
ステップ5:試験運用を行い、改善点を確認する
いきなり全社一斉に新システムへ切り替えるのではなく、一部の部署や一定期間で試験運用(トライアル)を行うステップです。
無料トライアル期間を提供しているクラウド勤怠システムも多いため、無料トライアル期間を活用すると良いです。
試験運用を通じて、自社の勤務形態にそのシステムが合っているか、操作感に問題はないか、といった点を事前に確認できます。
たとえば、「シフト勤務のパターン登録が想定以上に手間だ」「現場スタッフにはスマホ画面の文字が小さく見づらい」などのトラブルの種を早期に発見できれば、本格導入前に改善策を実施できます。
あわせて、システム提供会社のサポート体制についても、試験運用中に問い合わせ対応の品質を確認しておくと安心です。
「導入前から丁寧にサポートしてくれるか」「トラブル時にどこまで対応してくれるか」をチェックし、信頼できる提供元か見極めるポイントになります。
以上のように試験運用で得られたフィードバックをもとに、必要に応じて設定の調整や運用ルールの修正を行い、万全の状態で本番導入に臨みましょう。
ステップ6:本番導入と定着のためのフォロー体制を作る
試験運用で確認した改善点を反映し、新システムを全社で本格導入します。
本番導入後しばらくの間は、従業員からの質問やトラブルに迅速に対応できるフォロー体制を整えておくことが大切です。
たとえば、人事・労務担当者の中で「○○システムサポート係」を決め、問い合わせ窓口として社内ヘルプデスク的な役割を担ってもらうと安心です。
また、導入初期に頻発した質問やミス事例はFAQ(よくある質問集)としてまとめ、社内ポータル等で共有すると従業員自身が疑問を解消しやすくなります。
運用開始後1~2ヶ月は定着までの移行期間と位置付け、週次で運用状況をレビューして問題点があればその都度軌道修正すると良いです。
たとえば、「ある部署だけ残業申請の操作ミスが多い」など傾向が見られれば追加研修を行う、といった対応です。
システム提供会社側のアップデート情報にも目を配り、必要なら早めにバージョンアップや設定変更を実施します。
こうしたフォローアップをこまめに行うことで新しい勤怠管理方法が社内に定着しやすくなり、最終的には担当者不在でも現場が迷わず運用できる状態を目指します。
タイムカード廃止時に注意すべきポイント

タイムカードを廃止して、勤怠管理システムへ移行する際に特に注意すべきポイントを整理します。
- 打刻ルールを明確にして従業員へ周知する
- スマホ打刻の不正防止策と位置情報の扱い方を決める
- システム障害時のバックアップ運用体制を整える
- 既存システムとの連携要否を確認してデータ統合を検討する
以上の点を事前に押さえておくことで、移行後のトラブルを防ぎ、円滑な運用を維持しやすくなります。
以下から、それぞれのポイントについて解説します。
打刻ルールを明確にして従業員へ周知する
新システムでの打刻のタイミングや方法、修正申請の手順などを事前に明確化し、全従業員に周知徹底します。
たとえば、「遅刻や打刻忘れ時の申告方法」「休憩開始・終了の打刻要否」「残業申請の締切時刻」など、従業員が迷う可能性のあるポイントは細かくルールを定めておきます。
就業規則や社内通知にこうしたルールを明文化し、研修やメールで全員に共有しましょう。
ルールが不明瞭なままだと各自の判断に委ねられてしまい、打刻漏れや申請遅れ、記録の抜け漏れが起こりやすくなります。
特に初めて勤怠システムを導入する場合は、「紙では黙認されていたけどシステム上はNG」というケースも起こり得ます。
たとえば、これまでは上長へ口頭報告で済ませていた外出戻りの報告も、システム導入後は必ず打刻しなければ勤務時間にカウントされない、といった変更点です。
こうした運用ルールの変更点は事前に説明し、理解を得ておくことがスムーズな移行に欠かせません。
スマホ打刻の不正防止策と位置情報の扱い方を決める
スマートフォンでどこからでも打刻できるようになると、便利な反面でなりすまし打刻や位置情報を巡るプライバシーの問題にも注意が必要です。
対策として、スマホ打刻時には可能であればGPSによる位置情報を取得する設定を有効にし、申請上の勤務場所と齟齬がないか確認できるようにする方法があります。
ただし、位置情報の取り扱いについては従業員の不安を招かないよう配慮が必要です。
「勤務時間中の打刻時にのみ位置情報を取得し、勤務時間外は追跡しない」ことを明確に約束することが肝心です。
具体的には、「直行直帰時の始業・終業記録を客観的に残すためにGPSを使用する」「取得するのは打刻した瞬間の位置情報のみで、リアルタイムの居場所追跡はしない」といったルールを定め、事前に社員全員へ共有・同意を得ておきましょう。
また、システム選定の際には必要最小限の位置情報権限で済むツールを選ぶのが望ましいです。
たとえば、打刻時だけ位置を記録するタイプや、ジオフェンス(特定エリア外では打刻できない)機能を備えたものを検討すると良いです。
過度な監視とならないよう配慮しつつ、公正な勤怠管理を実現できる運用ルールを整えることが大切です。
システム障害時のバックアップ運用体制を整える
クラウド勤怠システムを使う場合、万が一のシステム障害が発生し打刻やデータ参照ができなくなった場合の備えも用意しておきましょう。
具体的には、システムダウン時には一時的に紙やExcelで出退勤を記録するといった代替手段をあらかじめ決めておきたいところです。
たとえば、「システム障害発生時は各部署の責任者が出退勤時刻をメモで控え、復旧後に本人申告させる」「打刻できなかった時間帯の勤務については、後から人事部でシステムへ手動入力する」などのルールです。
システムダウン時のルールを事前に策定して周知しておけば、万一運用が止まった際にも慌てず対応できます。
また、クラウド側のデータが消失しないよう定期的なバックアップ契約を結んでおくことも重要です(多くのクラウドサービスは自動バックアップを実施していますが、念のため確認しましょう)。
さらに、自社内で電源トラブルやネットワーク障害が起きた場合に備え、スマホ通信回線で打刻する手順や、停電時の紙記録法なども検討しておくと万全です。
事業継続計画(BCP)の一環として、勤怠システム停止時の対応フローをマニュアル化しておくことをおすすめします。
既存システムとの連携要否を確認してデータ統合を検討する
勤怠管理システムは単体で導入しても効果があります。
しかし、既存の人事システムや給与計算ソフトとのデータ連携についても事前に確認しておきましょう。
勤怠データを他システムへ手作業で転記する運用は、せっかく勤怠集計を自動化してもその後の工程で手間とミスを生む可能性があります。
実際、「勤怠システムと給与ソフトが連携できず、毎月出力フォーマットを手作業で変換している」といった失敗例も報告されています。
こうした事態を避けるため、導入前に他システムと連携する必要があるかを洗い出し、連携可能な勤怠システムを選ぶことがポイントです。
最近のクラウド勤怠はAPI連携機能やCSV出力機能が充実しており、多くの場合は主要な給与システム・人事システムとデータ連携できます。
それでも不安な場合は、運営に問い合わせて自社利用中の○○システムと連携実績があるか確認すると良いです。
将来的なシステム増設(たとえば、人事評価システム導入など)も視野に入れ、勤怠データを一元的に活用できる環境を整えることが理想です。
タイムカード廃止は、コスト削減と適正な労務管理を両立させる施策!

タイムカードが廃止できれば、単に作業効率化やコスト削減につながるだけでなく、労働時間を正確に記録・管理するという企業の責任を果たしやすくする取り組みでもあります。
適切な勤怠管理は労働者の保護と適正な賃金支払いのために法令で義務付けられており、そうした履行を確実にするうえでデジタル化は効果的な方法の一つです。
自社に合った運用方法を導入し、適切な管理体制を整えることで、生産性の向上と法令遵守の両立を実現しやすくなります。
もっとも、勤怠システム導入にあたって就業規則をどのように修正すべきか、労働時間の適正な運用ルールをどう整備するか、といった点で悩む企業も多いです。
そうした場合はぜひ社労士(社会保険労務士)に相談してみてください。
社労士であれば法律に沿った形で勤務時間管理のルール整備についてアドバイスしてもらえます。
さらに、運用開始後にトラブルが起きないよう従業員への説明方法や記録の残し方についても支援を受けることができます。
まさに専門家のサポートを活用することで、勤怠管理のデジタル化を確実に成功へ導けるのです。
静岡県静岡市の社会保険労務士事務所ダブルブリッジでは、前述のとおり社会保険労務士4名を含む9名体制で幅広い労務業務に対応しています。
最新の就業規則作成支援システムを導入しており、お客様とのやりとりもスピーディーです。
勤怠管理のDX化支援や外国人雇用対応などにも対応しつつ、制度設計から条文の作成、意見書の取得・労基署対応、従業員説明会の運営まで、煩雑な手続きをトータルでサポートします。
タイムカード廃止や労務管理全般のお悩みがありましたら、ぜひ一度社会保険労務士事務所ダブルブリッジへご相談ください。
専門スタッフが貴社の課題に寄り添い、具体的な改善策をご提案いたします。

