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2025年12月15日

勤怠管理電子化は義務化された?導入方法や注意点を一挙解説



近年、勤怠管理の電子化が多くの企業で進んでいます。


これまでの紙のタイムカードやエクセルによる手作業では、働いた時間を正確に記録することが難しく、法令を守る上でも限界が出てきました。



テレワークが広がった今、会社は社員の働く時間を「客観的に」管理することが求められています。


勤怠管理の電子化は、業務の効率化と法令遵守の両方を叶える、現代の企業にとって欠かせない仕組みです。


今回は、勤怠管理のデジタル化について網羅的に説明していきます。


勤怠管理の電子化は義務化されてはいないがほぼ必須!



勤怠管理を電子化すること自体は、法律で義務づけられてはいません。


しかしながら、企業には「従業員の労働時間を客観的に把握する義務」があり、電子化によりその実現が可能です。


義務化されているのは「労働時間の客観的把握」


2019年に改正された労働安全衛生法では、すべての企業に「労働時間を客観的に把握すること」が義務づけられました。


社員が自分で申告するだけの方法では不十分とされ、ICカードやパソコンのログ記録、勤怠システムの打刻などの客観的なデータが必要とされています。


たとえば、手書きの出勤簿やエクセル入力だけでは、実際の勤務状況が客観的に証明できません。


過去には、このような管理の甘さが原因で「長時間労働」や「未払い残業代」の問題が発生し、労働基準監督署から指導を受けるケースもありました。



そのため、企業は勤怠管理システムなどを導入し、勤怠データを客観的に記録・保存できるようにしておく必要があります。


一方で、システムを導入するにも費用や運用ルールの整備が必要です。


どんな仕組みを選ぶべきか迷う企業も多いでしょう。


そうした場合には、私たち社会保険労務士事務所ダブルブリッジにご相談ください。


最新の法律に沿った勤怠管理の仕組みを整えるだけでなく、現場の負担を減らすサポートも受けられます。


勤怠管理を電子化するメリット



勤怠管理の電子化には、業務効率から法令遵守まで、幅広いメリットがあります。


主なメリットは次の通りです。



  • 法令遵守(コンプライアンス対応)が容易になる

  • 集計・管理業務の効率が上がる

  • 勤怠データが可視化できる

  • データの信頼性・透明性が向上する

  • テレワーク・多拠点勤務に対応できる

  • コスト削減につながる

  • 従業員満足度を高められる

  • セキュリティ・保存管理が向上する


以下からは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。


法令遵守(コンプライアンス対応)が容易になる


勤怠システムを導入すると、打刻データが自動で保存されるため、法律で求められる「客観的な労働時間の記録」を確実に残せます。


労働基準監督署から調査を受けた場合でも、データをすぐに提出できるので、説明や確認がスムーズに進みます。


もし紙の記録しかない場合、過去の出勤簿を探したり、手書きの数字を確認したりと、調査対応に時間を取られてしまいます。


電子化はこうした手間をなくし、法令違反のリスクを軽減できます。


集計・管理業務の効率が上がる


紙やエクセルでの勤怠集計は、手作業が多く時間がかかります。


一方、勤怠システム導入により、出退勤・残業・休暇データを自動で集計でき、人事担当者の作業負担を減らすことができます。


電子化すれば、数字のずれや手作業による入力ミスを防ぎ、正確な給与計算につながります。


勤怠データが可視化できる


電子化された勤怠データは、出退勤や残業、休日労働を集計し、どの部署で残業が多いか、どの曜日に集中しているかなどの確認に活用できます。



こうした分析によって、特定の社員だけに負担が偏っていないかを早く見つけることも可能です。


たとえば、毎週同じ人が休日出勤していたり、深夜残業が続いていたりすれば、配置やシフトを見直すきっかけになります。


勤怠データの「見える化」は、働き方を改善するための出発点になります。


データの信頼性・透明性が向上する


電子データには、打刻の履歴や修正記録がすべて残ります。


誰がいつ修正したかが分かるため、不正な改ざんを防げます。


つまり、従業員と管理者の間の信頼関係を保ちやすくなるのです。



もし紙で管理していると、書き換えや紛失の危険があります。


データ管理の信頼性を高めることは、会社全体の信用にもつながります。


テレワーク・多拠点勤務に対応できる


クラウド型の勤怠システムなら、スマートフォンやパソコンからどこでも打刻ができます。


在宅勤務や出張中でも勤務時間を正確に記録できるため、働く場所を問わず管理が可能です。


出社が前提のタイムカードでは、直行直帰や在宅勤務者の勤怠を正確に把握できません。


働き方が多様化する今、どこでも使える勤怠システムは欠かせません。


コスト削減につながる


紙の出勤簿やタイムカードを使うと、印刷費や保管スペースが必要です。


電子化すれば、そうしたコストを減らすことができます。


加えて、人事担当者が集計にかける時間も短縮されるため、人件費の削減にもつながります。


従業員満足度を高められる


勤怠システムで申請から承認までの流れが早くなれば、従業員のストレスが減ります。


自分の勤怠状況をいつでも確認できることで、「きちんと評価されている」という安心感も従業員に提供可能です。


たとえば、残業や有給の申請がすぐに反映されると、上司とのやり取りがスムーズになります。


手数のスムーズさが積み重なることで、働きやすい職場環境を作れるのです。


セキュリティ・保存管理が向上する


電子データはアクセス権限を設定できるため、関係者以外が勤怠情報を見たり編集したりできません。


バックアップも自動で行えるため、データ消失の心配も少なくなります。


紙よりも安全で、長期間の保存にも適しています。


主な勤怠管理電子化・デジタル化のタイプ



勤怠管理システムには次のように「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つのタイプがあります。



  • クラウド型勤怠管理システム

  • オンプレミス型システム


それぞれの特徴について、以下から詳しく見ていきましょう。


クラウド型勤怠管理システム


クラウド型勤怠管理システムは、インターネット経由でサービスを利用するタイプです。


主に小規模~中規模の企業で利用されています。


特徴として次が挙げられます。



  • 初期導入コストが低く、サーバーや専用機器を購入する必要がない

  • 月額利用料が発生し、ユーザー数に応じて費用が変動する

  • テレワークや多拠点勤務にも対応でき、インターネット環境さえあればどこからでもアクセス可能

  • 保守やアップデートがサービス提供会社によって管理されるため、運用負担が軽い


クラウド型のメリットは、初期費用が安く、企業がすぐに導入しやすい点です。


特にテレワークを行う企業や、複数の拠点がある企業には便利なシステムです。


また、クラウドにデータが保存されるため、データ管理やセキュリティの面でも安心です。


オンプレミス型システム


オンプレミス型システムは、自社サーバーに勤怠管理ソフトを導入して運用するタイプです。


より高度なカスタマイズが求められる企業や、セキュリティが重視される企業で使われることが多いです。


特徴として、以下が挙げられます。



  • 初期費用が高く、専用のサーバーやソフトウェアの購入費用がかかる

  • システムのカスタマイズが自由にでき、自社の運用にぴったり合わせた機能を追加可能

  • 社内のネットワーク内でのみ利用するため、インターネット接続が必要なく、セキュリティの管理が自社で行える

  • 保守や更新作業を自社で行う必要があり、運用に手間がかかる


オンプレミス型は、セキュリティが重要な業種や、非常に細かなカスタマイズが必要な場合に適しています。


しかしながら運用や保守の負担が大きいため、管理者のスキルや人的リソースも必要なのです。


勤怠管理の導入プロセス



勤怠管理の電子化を進める際、スムーズに導入するためには段階的に進めることが重要です。


導入プロセスは次のような流れで進めていきます。



  • 現状把握を行う

  • 課題を洗い出す

  • 要件定義を行う

  • システム選定を行う

  • トライアル計画を設計する

  • トライアル導入・検証を行う

  • 全社展開を実施する

  • 従業員教育を実施する

  • 運用定着を図る

  • 効果測定と改善を行う

  • データ保存を管理する

  • セキュリティ管理を行う


以下からは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。


現状把握を行う


まずは現在、どのように勤怠管理をしているかを整理しましょう。


出勤や退勤の打刻方法、休みの申請や承認の流れ、集計の方法を一つ一つ確認し、手作業で行っている部分があれば実態をはっきりさせます。


すると、どの部分に改善が必要かが見えてきます。


課題を洗い出す


次に、現状の問題点を洗い出します。


「残業の記録が曖昧で確認が難しい」「集計作業に時間がかかる」「打刻漏れや誤記入が多い」など、困っていることをリストアップしましょう。


こうした課題を優先順位をつけて整理し、どの部分を最初に解決すべきかを決めます。


要件定義を行う


課題を解決するために、どんな機能が必要かを定めましょう。


たとえば、「シフト管理機能」「残業自動アラート」「休暇の管理」などです。


自社の規模や従業員数、業務フローに合わせて、システムに求める機能をリスト化し、要件定義を行います。


システム選定を行う


次に、複数の勤怠管理システムを比較検討しましょう。


使いやすさ、正確性、トラブルの少なさ、費用、既存の業務との相性などをチェックします。


候補を絞ったら、実際にデモやトライアルを試して、実務に適したシステムを選びましょう。


トライアル計画を設計する


いきなり全社導入を行うのではなく、まずは一部の部署や少人数で試験的に運用を始めましょう。


このとき、試験運用の期間や範囲、評価するポイントを決め、フィードバックを集める準備をします。


すると、システムの問題点を早期に見つけ、改善できます。


トライアル導入・検証を行う


小規模での運用が開始されたら、問題がないかをしっかり確認しましょう。


打刻が正しく行われているか、集計にズレがないか、使いにくい部分はないかを検証するのです。


問題が出た場合には、設定やルールを調整し、より使いやすい形に整えなければなりません。


全社展開を実施する


トライアル結果を基に、全社的にシステムを導入しましょう。


導入目的やシステムの使い方を分かりやすく伝え、各部署や拠点の責任者に役割を知らせて、スムーズな導入を図ります。


従業員教育を実施する


システムの操作方法やルールを従業員に説明します。


特に管理者や承認者には、システムの操作方法だけでなく、エラー対応や修正手順を丁寧に教える必要があります。


定期的に教育を行い、運用中の疑問をすぐに解消できる窓口を設けると効果的です。


運用定着を図る


新システムを導入した直後は、問題が起きやすい時期です。


こまめに運用状況をチェックし、打刻漏れやミスがないか、従業員からの問い合わせがないかを確認してください。


慣れてきたら、定期的なチェック体制に切り替えます。


効果測定と改善を行う


システム導入後、どれだけ業務が改善されたかを数字で測定しましょう。


たとえば、集計時間が短縮されたか、残業管理が改善されたかなどを確認します。


改善が必要な部分があればすぐに対応し、より良い運用に繋げていきましょう。


データ保存を管理する


勤怠データは法定期間で保存する必要があります(基本的には3年間)。


データの保存場所やアクセス権限を決め、データの消失や書き換えがないように管理しましょう。


バックアップも定期的に行い、必要なときにすぐにデータを取り出せるようにしてください。


セキュリティ管理を行う


情報セキュリティも重要なポイントです。


勤怠データには個人情報が含まれるため、ログイン時の安全対策やデータ暗号化が必要になります。


また、外部に委託している場合は、相手のセキュリティ管理が適切かも確認しておく必要があります。


勤怠管理の電子化における注意点



デジタル勤怠管理の導入時や運用の際には、次のように注意点があります。



  • 労働基準法などを守る

  • 個人情報を保護する

  • 運用ルールを決める

  • 従業員教育を徹底する

  • トラブル・データ消失への備えをする

  • システム変更時・運用移行時に注意する

  • 監査・労基署調査への対応ができるようにする


特に、法律の順守やデータ管理、情報セキュリティなどは欠かせない部分です。


以下からは、注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。


労働基準法などを守る


勤怠管理の電子化を進めるときは、労働基準法などの法律を守ることが前提になります。


システムを導入しただけでは法令順守とはいえず、次のように運用の仕方にも注意が必要です。



  • 労働時間を客観的に把握する

  • 勤怠記録を3年間保存する

  • 改ざん防止する


以下からは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。


労働時間を客観的に把握する


企業には、従業員の労働時間を客観的に把握する義務があります。


法律で定められており、自己申告だけに頼る方法では不十分です。


ICカードや勤怠システムなどを使って、誰がいつ働いたのかをデータとして記録する必要があります。



もし管理を怠ると、従業員の働きすぎに気づけず、長時間労働や健康被害につながるおそれがあります。


勤怠記録を3年間保存する


法律では、勤怠データを3年間は保存する義務があります。


紙であっても電子データであっても、削除したり紛失したりしないようにすることが大切です。



過去の勤怠データをすぐに確認できないと、労基署調査や従業員からの問い合わせに対応できなくなるおそれがあります。


バックアップを定期的に取るなど、確実に保管できる仕組みを整えましょう。


改ざん防止する


電子データを扱う際には、改ざんを防ぐ仕組みが重要です。


いつ・誰が修正したかを記録できる「履歴管理機能」や、アクセス権限を制限する仕組みを備えたシステムを選びましょう。



改ざんや不正な修正が行われると、会社と従業員の信頼関係が崩れ、労務トラブルにつながる可能性があります。


信頼性を保つためにも、データを守る機能があるかを事前に確認しておくことが必要です。


個人情報を保護する


勤怠データには、氏名、勤務時間、休暇情報などの個人情報が多く含まれます。


そのため、データの扱い方には十分な注意が必要です。


アクセスできる人を最小限にし、通信を暗号化(第三者が内容を読めないように変換)するといった対応が求められます。



個人情報の流出が起きると、企業の信用が失われるだけでなく、損害賠償を求められるケースもあります。


特にクラウド型システムでは、提供元のセキュリティ体制を確認しておくと安心です。


運用ルールを決める


システムを導入したあとに、操作方法や修正の流れを決めておかないと現場が混乱します。


打刻忘れや修正申請、承認の流れなどを明文化して、全員が確認できるようにしましょう。



ルールを決めずに運用を始めると、社員ごとに対応が違ってしまい、記録の整合性が取れなくなるおそれがあります。


トラブルを防ぐためにも、導入前に社内ルールをしっかり整えることが大切です。


従業員教育を徹底する


勤怠システムを正しく運用するには、従業員全員がルールを理解している必要があります。


操作方法や修正の手順を丁寧に説明し、疑問が出たときにすぐ質問できる環境を作りましょう。



教育を怠ると、打刻漏れや入力ミスが増え、正確な勤怠データが取れなくなります。


とくに管理者や承認者には、システムの操作やエラー時の対応を重点的に教えることが重要です。


トラブル・データ消失への備えをする


システム障害や操作ミスに備えて、バックアップを定期的に取るようにしましょう。


万が一データが消えた場合、勤怠記録が確認できず、給与計算や法定書類の作成に支障が出ます。



復旧方法をあらかじめ決めておくことで、トラブル発生時にも冷静に対応できます。


システム変更時・運用移行時に注意する


システムを乗り換える際には、旧システムのデータを正しく保存・移行することが重要です。


データが欠けたり壊れたりすると、過去の記録を証明できなくなります。



また、古いシステムの保管期限が切れていない場合は、並行して管理を続ける必要があります。


監査・労基署調査への対応ができるようにする


電子化によって勤怠データを保存しておくと、労働基準監督署の調査にも対応しやすくなります。


打刻記録や修正履歴をすぐに提示できれば、調査がスムーズに進みます。


逆に、データの整備が不十分だと、法令違反と判断される可能性も否定できません。


日頃からデータを整理し、すぐに出せる状態にしておくことが信頼につながります。


今こそ社労士とともに勤怠管理を電子化して、法令対応と効率化を両立させよう!



勤怠管理をデジタル化することは、単に作業を便利にするためのものではありません。


社員の働く時間を正しく把握し、法律を守りながら安心して働ける環境を作るための大切な仕組みです。



紙やエクセルによる管理では限界があります。


正確な集計や保存を行うにはシステムによる運用が欠かせません。


電子化することで、労務リスクを減らし、企業としての信頼性を高められます。


導入を成功させるには、自社に合ったシステムを選ぶことと、運用ルールや教育体制を整えることが欠かせません。


もし勤怠管理の仕組み作りや法令対応に不安がある場合は、労務の専門家に相談するのがおすすめです。


静岡市の社会保険労務士事務所ダブルブリッジでは、勤怠管理の電子化支援から給与計算・明細作成まで、企業の状況に合わせたサポートを提供しています。



社会保険労務士4名を含む9名の専門スタッフが在籍しており、幅広い労務相談に対応可能です。


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