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2026年04月06日

人材派遣業の許可を取得するには?取得条件・申請手順・更新手続きを解説




人材派遣業を始めるには、会社を作ればすぐ営業できるわけではありません。

人材派遣を行う事業者は、あらかじめ許可を受けたうえで、法令に沿った運営体制を整える必要があります。

さらに、許可を受けた後も事業報告や更新手続き、派遣労働者の管理など、日々の運営でも気をつけるべき点が多くあります。


そのため、人材派遣業の許可を考えるときは、申請書類の準備だけでなく、許可後の運営まで見据えて進めることが大切です。

本記事では、人材派遣業の許可を取るために必要な条件、申請の流れ、更新時の注意点までを解説します。


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人材派遣業に必要な許可とは?



人材派遣業は、会社を作っただけですぐ始められる事業ではありません。

派遣労働者を雇用し、派遣先で就業してもらう形になるため、通常の採用とは違う管理体制が必要になります。

そのため、人材派遣業を始めるには、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。


許可制度の主なポイントは、次の通りです。



  • 国の審査を通過した事業者だけに与えられる

  • 派遣労働者の仕事環境を守る目的がある

  • 派遣先企業が安心して契約できる事業者を選択できるようにする目的がある



ここからは、制度の内容を順番に見ていきましょう。


国の審査を通過した事業者だけに与えられる


人材派遣業の許可は、申請すれば必ず受けられるものではありません。

会社の財産状況や事務所の状態、管理体制、個人情報の取り扱いなどが確認され、基準を満たした場合に許可されます。


また、申請書類を出して終わりではなく、内容の確認や事業所の状況確認が行われることもあります。

許可を受けた後も、法令に沿って運営を続けることが前提です。


派遣労働者の仕事環境を守る目的がある


派遣労働者は、雇用する会社と実際に働く会社が分かれます。

そのため、賃金の支払い、就業条件の説明、教育訓練、相談対応などをきちんと行える体制がないと、働く人が不利益を受けやすくなります。


許可制度があるのは、そうした問題を防ぐためです。

人材派遣業を行う会社には、派遣労働者をきちんと管理し、安心して働ける環境を整えることが必要です。

つまり、許可制度は事業者のためだけでなく、派遣労働者を守るための仕組みでもあります。


派遣先企業が安心して契約できる事業者を選択できるようにする目的がある


派遣先企業にとっても、どの派遣会社と契約するかは大切な問題です。

許可を受けた会社であれば、一定の基準を満たしていることが確認されているため、取引先として検討しやすくなります。


反対に、許可を受けていない事業者と契約してしまうと、派遣先企業にもトラブルが及ぶおそれがあります。

そのため、許可制度は派遣労働者を守るだけでなく、派遣先企業が安心して取引先を選べるようにするための制度です。


人材派遣業の許可を得るために必要な条件



人材派遣業の許可を受けるには、さまざまな基準を満たす必要があります。


ここでは、代表的な条件を紹介します。



  • 一定額以上の資産を持つ会社であること

  • 派遣事業専用の事務所を確保していること

  • 派遣事業を管理する責任者を配置すること

  • 法令違反歴がない経営者であること


人材派遣業の許可は、書類を出せば通るものではありません。

会社のお金の状況、事務所の中身、責任者の体制、役員の適格性まで見られます。

ここからは、それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。


一定額以上の資産を持つ会社であること


人材派遣業では、派遣スタッフへの賃金支払いを続けられるだけの資金があるかを確認されます。

そのため、会社には一定の資産が必要です。


具体的には、基準資産額は2,000万円に事業所数を乗じた額以上、自己名義の現金・預金は1,500万円に事業所数を乗じた額以上が必要とされています。


また、基準資産額が負債総額の7分の1以上であることも求められます。



(イ) 財産的基礎に関する判断(事業主(法人又は個人)単位で判断)


許可申請事業主についての財産的基礎の要件については以下のとおりとする。


a 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基


準資産額」という。)が2,000万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。


・ 厚生労働省令により提出することとなる貸借対照表又は労働者派遣事業計画書


(様式第3号)の「3 資産等の状況」欄により確認する。


・ 「繰延資産」とは、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)第74条第3項第5


号に規定する繰延資産をいい、「営業権」とは、無形固定資産の一つである会社


計算規則第2編第2章第2節の「のれん」をいう。


b aの基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること。


c 事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に当該事業主が労働者派遣


事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。


引用元:厚生労働省「労働者派遣事業の許可基準について



そのため、許可申請を考える段階では、会社の決算内容だけでなく、実際に動かせる資金が足りているかも見ておくことが大切です。

複数拠点で始める予定がある場合は、先に資金計画を整理しておいたほうが進めやすくなります。


派遣事業専用の事務所を確保していること


許可申請では、実体のある事務所が必要です。次のような条件が確認されます。



  • 事業専用として区分されたスペースであること

  • 面積が概ね20㎡以上あること

  • 個人情報を扱うための設備や管理体制が整っていること


自宅の一部を事務所にする場合でも、明確に区分されていなければ認められません。



2 事業所に関する判断 事業所に使用し得る面積が、おおむね20㎡以上


雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一


①場所的に他の(主たる)事業所から独立していること。


②経営(又は業務)単位としてある程度の独立性を有すること。すなわち人事、経理、


  経営(又は業務)上の指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること。


③一定期間継続し、施設としての持続性を有すること。


(略)


7 個人情報適正管理規程を定めていること


引用元: 厚生労働省「労働者派遣事業 許可申請の手引き




申請前には、実際に事業を行う場所として問題ないかを見直しておく必要があります。


派遣事業を管理する責任者を配置すること


人材派遣業では、各事業所に派遣元責任者を置かなければなりません。

派遣元責任者は、派遣スタッフの管理や派遣先との調整など、事業運営の中心になる立場です。


派遣元責任者になるには、一定の雇用管理経験などの要件を満たしたうえで、許可申請受理日前3年以内に派遣元責任者講習を受講していることが必要です。



厚生労働省告示(平成 27 年厚生労働省告示第 392 号)に定められた講習機関が実施する則第 29 条の2第1号で規定する「派遣元責任者講習」を受講(許可の申請の受理の日前3年以内の受講に限る。)した者であること。


引用元:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領



加えて、一定の経験や派遣事業をきちんと管理できる立場にあることも求められます。

許可申請を進める前に、誰を責任者にするのか、講習は済んでいるかを確認しておくと安心です。


法令違反歴がない経営者であること


人材派遣業の許可では、会社の資金や事務所だけでなく、経営者や役員の適格性も見られます。

過去に重大な法令違反がある場合や、一定の欠格事由に当てはまる場合は、許可を受けられません。



第6条(許可の欠格事由)


第六条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。


一 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定その他労働に関する法律の規定(次号に規定する規定を除く。)であつて政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第五十条(第二号に係る部分に限る。)及び第五十二条の規定を除く。)により、若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪若しくは出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者


引用元:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 | 第6条



たとえば、労働関係の法令違反で処分を受けている場合や、役員に問題がある場合は、申請に影響が出ることがあります。


申請前には、役員構成や過去の経歴に問題がないかを見直しておくことが大切です。

後から発覚すると、準備した書類や時間が無駄になってしまうこともあります。


人材派遣業の許可申請手順



人材派遣業の許可申請は、次の流れで進みます。



  1. 会社の条件を整える

  2. 必要書類を作成する

  3. 労働局への許可申請提出時に行政費用を納付する

  4. 行政による審査を待つ

  5. 許可通知を受けて事業開始する


私たち社会保険労務士事務所ダブルブリッジは、労働社会諸法令に基づく書類作成や各種手続きにも対応しています。


必要書類の整理や作成で迷った際は、状況に応じた形でご相談いただけるため、お気軽にお問い合わせください。


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ここからは、各手順を順番に見ていきましょう。


1.会社の条件を整える


最初に行うのは、許可を受けるための条件を満たすことです。


人材派遣業では、申請書類がそろっていても、会社の土台が整っていなければ前に進みません。

たとえば、事務所の契約が済んでいない、派遣元責任者講習が終わっていない、決算内容が条件に届いていないといった状態では、申請準備が止まりやすくなります。


また、申請の段階では、事業を始めた後の運営も見られるため、就業規則や雇用に関する社内の決まりを整理しましょう。


2.必要書類を作成する


条件が整ったら、次は申請書類をそろえましょう。

人材派遣業の申請では、提出書類が多く、1つでも不備があると確認に時間がかかりやすくなります。


主な書類としては、以下が挙げられます。



  • 許可申請書

  • 事業計画に関する書類

  • 定款

  • 登記事項証明書

  • 決算書類

  • 納税に関する書類

  • 事務所の契約書

  • 派遣元責任者に関する書類


以下から、それぞれ詳しく見ていきましょう。


3.労働局への許可申請提出時に行政費用を納付する


許可申請では、書類を出すだけでなく、決められた費用も納める必要があります。

人材派遣業では、新規申請と更新申請で必要な費用が変わります。


行政費用として確認しておきたい内容は、次の通りです。


区分費用の種類金額補足・注意点
新規許可申請時登録免許税9万円1事業所につき納付(国税)
申請手数料12万円 ・収入印紙で納付・2か所以降は1か所につき5万5千円が必要
許可更新時申請手数料5.5万円 × 事業所数更新申請ごとに収入印紙で納付

事前に内容を整理し、余裕をもって準備しておくことが重要です。


4.行政による審査を待つ


申請書類を提出した後は、行政による審査が行われます。

審査では、書類上の内容確認だけでなく、事務所の状況や会社の体制も見られます。



具体的には、実際に行政担当者が実地調査に訪れ、「派遣業として問題のない環境であるか?」「個人情報の管理するロッカー、派遣労働者の研修等の場所、派遣元責任者等のデスク等、申請した書類と相違がないか?」といった点を確認します。


審査には一定の期間がかかるため、予定している事業開始時期に合わせて余裕を持って動くことが大切です。

場合によっては、追加書類の提出や内容の確認を求められることがあるため、提出した時点で終わりと考えず、追加対応が出る前提で準備しましょう。


5.許可通知を受けて事業開始する


審査を通過すると、許可通知を受けて人材派遣業を始められるようになります。

許可が出るまでは正式に事業を行えないため、通知を受ける前に営業を始めないよう注意が必要です。


許可証を受け取ったら、許可番号を確認し、許可番号は対外的な確認にも使われるため、社内でもきちんと管理しておくことが大切です。


許可番号の確認方法としては、以下の方法があります。


確認方法内容ポイント・注意点
厚生労働省の事業者検索システム「人材サービス総合サイト」で事業者を検索・許可番号・許可年月日・事業所情報を確認可能・取引前の確認に必須
派遣会社の公式サイト・会社資料会社概要ページや求人情報、会社案内資料を確認・許可番号の表示は義務・見当たらない場合は、厚生労働省の人材サービス総合サイトなどで再確認する

許可番号は、派遣事業者の信頼性を判断する重要な情報です。


取得後は速やかに自社ホームページや資料へ反映させ、また、派遣業務を実施する事業場の出入口付近へ許可証の掲示も必要です。


取引先及び、来社した派遣労働者がいつでも確認できる状態にしておきましょう。


人材派遣業の許可取得後に行わなければならないこと



人材派遣業は、許可を受けたら終わりではありません。

許可後も、日々の運営の中で対応しなければならない事項があります。

主な内容は、次の通りです。



  • 派遣契約締結

  • 派遣労働者への待遇説明

  • 派遣労働者の就業期間の上限管理

  • 行政への事業報告提出(毎年)

  • 許可の更新手続き


許可後の運営まで整ってはじめて、人材派遣業を安定して続けやすくなります。

ここからは、それぞれの内容を順番に見ていきましょう。


派遣契約締結


派遣先企業と取引を始めるときは、労働者派遣契約を結ぶ必要があります。

口頭だけで進めるのではなく、業務内容、就業場所、派遣期間、就業時間、派遣人数などを明確にしておくことが大切です。


また、途中で契約が終わる場合に、派遣労働者の雇用をどう守るかも整理しておく必要があります。

内容があいまいなままだと、派遣先との認識相違や、後のトラブルにつながりやすくなります。

契約書は、取引の土台になる書面として丁寧に整えておきたいところです。


派遣労働者への待遇説明


派遣元は、派遣労働者に対して、働く条件を事前にきちんと伝えなければなりません。

たとえば、どこで働くのか、どのような業務を行うのか、勤務時間や休日はどうなるのか、といった内容を分かる形で示す必要があります。


そのほかにも、賃金の考え方、教育訓練、相談先など、働くうえで知っておきたい内容を整理して伝えることが大切です。

説明が不十分だと、就業後の行き違いや不満につながりやすくなります。

書面を整えるだけでなく、相手が理解しやすい形で伝える意識も欠かせません。


派遣労働者の就業期間の上限管理


派遣期間には制限があり、派遣先の同一事業所での受入れは原則3年、同一の派遣労働者を同一の組織単位に派遣できる期間も原則3年です。



○ 派遣先の同一の事業所において、継続的に派遣を受け入れることができる期間は、原則、3年


としており、派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数


労働組合(過半数労働組合がない場合は、過半数代表者)からの意見を聴く必要がある。(事業


所単位の期間制限)(法第40条の2)


○ 派遣元事業主が、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる


「課」)に対し派遣できる期間は、3年としている。(個人単位の期間制限)(法第35条の3)


引用元: 厚生労働省「派遣期間制限について


そのため、どの派遣労働者が、どの部署で、いつからいつまで就業しているのかをきちんと管理しなければなりません。


管理が不十分だと、気づかないうちに期間を超えてしまうおそれがあります。

特に、複数の派遣先や複数の派遣労働者を抱えている会社では、台帳や管理表を整えておかないと把握が難しくなります。

期間管理は、許可後の実務の中でも特に見落としやすい部分なので、早い段階で管理方法を決めておくことが重要です。


行政への事業報告提出(毎年)


人材派遣業では、毎年、決められた報告書を行政へ提出する必要があります。


報告書提出期限参考情報
労働者派遣事業報告書(様式第11号)毎年6月1日現在の状況をまとめ6月中に提出派遣実績の有無にかかわらず提出が必要
労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)事業年度経過後3か月以内収支決算を事業所ごとに報告する
関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)事業年度経過後3か月以内事業主単位で派遣先への派遣割合を報告する


派遣実績があるかどうかにかかわらず、期限内に出さなければならない書類があるため注意が必要です。


報告内容には、事業の状況、収支の内容、派遣先の割合などが含まれます。

日々の記録が整理されていないと、提出時期になってから慌てることになりやすいため、年間を通じて資料をまとめておくことが大切です。

毎年の報告は、許可を受けた後の基本業務として考えておく必要があります。


許可の更新手続き


人材派遣業の許可には有効期間があります。

初回の許可は3年で、その後は5年ごとに更新が必要です。

更新時期を過ぎると、そのまま事業を続けることはできません。



○ すべての労働者派遣事業を行おうとする者は許可を受けなければならない(法第5条)。


○ 有効期間は、新規の許可の場合は3年、許可の有効期間の更新の場合は5年(法第10条)。


※ 許可は事業主単位で受け、届出により新たな事業所を設置することができる。


引用元: 厚生労働省「労働者派遣事業の許可制について



更新では、会社の財務状況、事務所の状態、責任者の体制などを改めて確認されます。

更新の時期だけ準備するのではなく、日頃から記録や体制を整えておくことが、更新を進めやすくするポイントです。


人材派遣業の許可は取得後の管理も重要!迷った時は専門家へ確認しよう



人材派遣業は、許可を取れば終わりという事業ではありません。

申請前には、資産、事務所、責任者の体制を整え、必要書類をそろえながら手続きを進める必要があります。


また、許可を受けた後にも、派遣先との契約、派遣労働者への説明、就業期間の管理、毎年の事業報告、派遣労働者の教育訓練の実施及び管理、派遣労働者の同一同一賃金に関する業務、許可更新手続きなど、継続して行うべき業務があります。

そのため、人材派遣業では、申請時の準備だけでなく、許可後の管理まで見据えて進めることが大切です。


とくに、初めて許可申請に取り組む場合は、どの書類をどの順番でそろえるのか、どこまで社内で対応できるのか、判断に迷いやすい場面が少なくありません。


私たち社会保険労務士事務所ダブルブリッジでは、人材派遣業の許可申請前の準備、必要書類の整理、取得後の労務管理まで、企業の状況に合わせてサポートを行っています。


社会保険労務士4名を含む9名の専門スタッフが在籍しており、創業間もない企業様への支援や、継続的な顧問契約、必要な手続きのみのご依頼にも対応しています。


派遣事業の立ち上げや運営でお困りの際は、ぜひお早めにお問い合わせください。


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