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2026年02月04日
障害年金は難しいって本当?手続きや対象者の決まり方などを徹底解説!

障害年金は公的年金制度の一部であり、生活や就労に制限を受ける障害のある人を経済面で支える仕組みです。
しかし、多くの方が申請前から不安や疑問を抱えがちです。
「自分に該当するのかわからない」「手続きが煩雑そう」「申請しても通るか不安」といった声もよく聞かれます。
実際、認定基準が分かりづらく提出書類も多いため、準備段階で諦めてしまったり、一度自力で請求したものの不支給になってしまったりするケースも少なくありません。
ポイントを押さえて順を追って整理すれば、障害年金の手続きは決して乗り越えられないものではありません。
本記事では、障害年金の手続き方法や対象者の決まり方について解説します。
障害年金の話が頭の中で散らかったまま、という場合には、社会保険労務士事務所ダブルブリッジが状況整理から一緒に進めます。
ぜひ、お問合せフォームからご連絡ください。
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障害年金を受けるのが難しいと感じられる理由

ご相談でも最初によく出るのが、「障害年金の手続きは難しい」という漠然とした不安です。
「難しい」と感じる主な理由は、以下の通りです。
- 制度の全体像が見えにくいため
- 書類ごとの役割が分かりづらいため
- 結果が見えるまで時間がかかるため
- 【注意点あり】申請手続きが難しく感じられるから
ここからは、上記のポイントについて詳しく見ていきましょう。
制度の全体像が見えにくいため
情報を断片的に耳にするだけでは、自分がそのどこに当てはまるのか把握しづらく、「結局自分は対象なのか?」という全体像が見えにくくなりがちです。
実際、障害年金を受給するためには次の3つの主要条件があります。
- 障害の原因となった傷病の初診日が国民年金・厚生年金の被保険者期間等にあること(※20歳前や60歳以上など例外あり)
- 障害認定日(原則:初診日から1年6か月経過日。ただし、1年6か月以内に症状が固定した場合はその日)に法定の障害状態等級に該当すること
- 初診日の前日時点で一定の保険料納付要件を満たすこと
判断材料が多岐にわたるため、「自分はどの条件で詰まりそうか」が最初は見えづらいかもしれません。
しかし裏を返せば、この3点さえ順に確認すればよいため、後述する「対象者の決まり方」で一つひとつ整理すれば不明点は絞られるともいえるのです。
書類ごとの役割が分かりづらいため
障害年金の申請には複数の書類が必要で、それぞれ目的が異なります。
代表的なものに以下があります。
- 医師の診断書
- 自分で生活状況などを記入する病歴・就労状況等申立書
- 初診日を証明する受診状況等証明書
それぞれの役割を理解しないまま準備を始めると、「何を書けば良いのか」「どう揃えれば良いのか」で混乱しがちです。
たとえば、受診状況等証明書は「初診日」を客観的に証明するための書類です。
初診日は障害年金における重要な基準日であり、初診日を誤ると何度も証明書を取り直したり、診断書の内容修正が必要になるため、慎重に確定させる必要があります。
一方、診断書は重要な書類で、医師に作成してもらいます。
医師は医学の専門家であり障害年金の専門家ではないため、的確に生活上の困難を伝えないと実態が反映されにくいのが実情です。
また、病歴・就労状況等申立書は自分自身で障害の経過や日常生活状況を記載する唯一の書類です。
しかし自由記載であるがゆえに、不適切な書き方をすると結果に悪影響を与えることがあります。
診断書や他の証明書との内容に矛盾があると信憑性が下がってしまいます。
このように書類ごとの役割と注意点を把握しておくことが大切です。
結果が見えるまで時間がかかるため
申請してから決定が出るまでに時間がかかることも、不安を感じやすくなる一因です。
提出書類を受けてから審査結果の通知が来るまで、目安として数か月かかることが多く、状況によって前後します。
ケースによっては6か月以上要することもあり、特に書類の追加提出などがあればさらに延びる可能性があります。
結果が出るまでの数か月間は、「大丈夫だろうか?」「不支給になったらどうしよう」と気持ちが落ち着かない期間になりがちです。
とはいえ、こうした期間は制度上想定された標準的な期間であり、長いからと言って不支給になるとは限りません。
気になる場合は進捗状況を年金事務所に問い合わせることもできます。
【注意点あり】申請手続きが難しく感じられるから
「手続きが煩雑で難しい」という印象は、障害年金受給の全体像(構造)を知らないことから生じます。
実際には手順があるものの、見通しが立たないうちは一つひとつの作業が点になってしまい、全体が複雑に感じられるのです。
ただし、以下の要点を押さえ順序立てて整理すれば対処可能です。
- 時系列で整理しないと混乱する
- 医師との情報共有が不足しやすい
- 一度の不備で全否定されたように感じる
- 【補足あり】「過去の年金」をどう扱うか整理をしないと混乱する
では、申請準備でつまずきやすい上記ポイントについて具体的に見ていきましょう。
社会保険労務士事務所ダブルブリッジでは、制度の全体像や書類の役割がつかめていない段階でも大丈夫なように、整理の順番から一緒に進めるサポートをしています。
時系列で整理しないと混乱する
障害年金の準備では、まず「時系列」に沿って情報を整理することが重要です。
初診日から現在に至るまでの受診歴や症状の変遷を順番に書き出しておかないと、書類に記載する内容に食い違いが生じたり、抜け漏れが出たりしやすくなります。
実務上、申立書を書く際にも家族や支援者と一緒に、過去から順に病歴を整理することが勧められています。
闇雲に思い出そうとするより、まず思い出せる範囲で年表のように受診歴をリスト化しましょう。
たとえば、「○年○月△△クリニック受診、症状○○」「○年○月□□病院転院」など、紙に書き出すだけでも状況の全体像が見えてきます。
時系列に整理しておけば、初診日の特定や病歴の一貫性も確認しやすくなり、書類間の矛盾も防ぎやすくなるのです。
医師との情報共有が不足しやすい
障害年金申請では医師の診断書が結果を左右すると言っても過言ではありません。
しかし、医師は障害年金の専門家ではないため、日常生活でどの程度困っているかなどをこちらから伝えないと正確に把握されない場合があります。
特に精神疾患では、診察時に良いふうに見せてしまったり、医師に詳細を話す機会が少なかったりして、実態より軽い内容の診断書になってしまうケースが少なくありません。
こうした不足を補うために、社労士等の専門家が事前にヒアリングした内容をまとめて医師に渡すなどのサポートを行うこともあります。
実際、社会保険労務士事務所ダブルブリッジでも、生活上の困りごとの整理が難しい場合は一緒にまとめ方を考え、医師に的確に伝えるお手伝いをしています(当事務所は社労士事務所として個人情報保護の体制も整えていますので安心してご相談ください)。
自分では上手く伝えられない生活上の困難も、専門家のサポートで医師に正確に伝わり、適切な内容の診断書に反映してもらいやすくなるのです。
一度の不備で全否定されたように感じる
提出書類に不備や不足があると、年金事務所から「差し戻し」(返戻)や追加資料の依頼を受けることがあります。
差し戻しは不支給が決定した通知ではなく、申請内容を補完するための手続きです。
たとえば、「診断書の一部に記載漏れがある」「初診日の証明書がもう一枚必要」といった理由で書類の補正を求められるケースはよくあります。
そうした際には落ち着いて不足箇所を確認し、指定された追加書類を整えれば問題ありません。
一度の不備で全て否定されたと捉えず、「より万全な書類にするためのプロセス」と考えることが大切です。
なお、年金事務所からの連絡には期限が設けられている場合が多いので、指示内容を正確に読み取って速やかに対応しましょう。
【補足あり】「過去の年金」をどう扱うか整理をしないと混乱する
障害年金には、現在の請求とは別に「過去分を遡って受給できる可能性」という論点があります。
障害認定日(初診から1年6か月経過日)にさかのぼって年金を受け取る請求をするかどうかという問題です。
初めて聞くと混乱しやすい部分ですが、以下のポイントで整理できます。
- 障害認定日から一定期間が経過しているかで決まる
- 当時の医療記録が残っているかで決まる
- 請求の仕方を分けて考える必要がある
- 知らずに機会を逃す人が少なくない
それでは、「過去の年金」(遡及請求や事後重症請求)の考え方について補足していきましょう。
社会保険労務士事務所ダブルブリッジが、請求の組み立てを分けて考える整理からご一緒します。
障害認定日から一定期間が経過しているかで決まる
初診から1年6か月後の障害認定日から長期間が経っている場合、請求方法が変わる可能性があります。
具体的には、障害認定日から1年以上経過して請求する場合、当時の状態に遡って受給できるかどうかが論点になります。
障害認定日
障害の状態を定める日のことで、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。
なお、初診日から1年6カ月以内に、次に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となります。
引用元: 日本年金機構「さ行 障害認定日」
障害認定日時点で障害等級に該当していたなら、その時点に遡って年金を受け取る「認定日請求(遡及請求)」が認められる余地があります。
一方、障害認定日時点では等級に該当せずその後悪化した場合は、「事後重症による請求」となり、請求時点以降の年金しか受け取れません。要するに、現在の状態だけを見る通常請求とは仕組みが異なるのです。
認定日から時間が経っているほど、「当時どうだったか」を問われる請求になる可能性があることを押さえましょう。当時の医療記録が残っているかで決まる
過去分を受け取るには、障害認定日当時の医療記録が重要です。
その時点の診断書やカルテなど、過去の状態を証明できる資料が残っているかどうかで対応が変わります。
もし認定日当時の診断書を医師に書いてもらえない場合(たとえば、病院が廃業・カルテ破棄、主治医が不在など)、残念ながら認定日請求はできません。
そうした場合は、現在の診断書で現在の状態から受給権取得を目指す「事後重症請求」に切り替えることになります。
現在の診断書だけでは補えない部分が多く、当時の記録がないと遡っての支給は難しくなります。
そのため、いざというときのために古いカルテや診療情報のコピーを取っておくことが望ましいです。計画的に請求の仕方を分けて考える必要がある
過去分の受給を狙う場合、請求の組み立てを分けて考えることが重要です。
たとえば、現在の状態について「事後重症請求」で受給権を確保し、その後改めて障害認定日当時に遡る「認定日請求(遡及請求)」を追加で行う方法です。一度に全てを請求しようとすると論点が混ざり、審査側も判断しにくくなります。
実際に、「ひとまず事後重症で申請し、後から遡及請求を別途行った」ケースも報告されています。このように現在分と過去分を切り離して検討することで、それぞれに最適な準備が可能です。
知らずに機会を逃す人が少なくない
過去にさかのぼって年金をもらえる制度があること自体、知らない方も少なくありません。
そのため、本来なら受け取れたはずの「過去の年金」を請求せずに終わってしまうケースも見られます。
たとえば、事後重症で現在分だけ受給して満足していたが、実は5年分遡及できた可能性があった、といったケースです。障害年金の時効は5年で、遡及請求すれば最大5年分まとめて受け取れる可能性があります。
1.障害認定日による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の翌月分から)年金を受給できます。
なお、請求書は障害認定日以降、いつでも提出できますが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度です。
引用元: 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
事後重症請求後でも、時効になっていない期間については別途手続きを行えば遡及請求が可能です。
この点を知らずに「もう過去の分は無理だろう」と諦めてしまうのはもったいないことです。
制度として認められた権利なので、可能性があるなら検討し、専門家に相談してみる価値があります。障害年金対象者の決まり方
次に確認すべきは、「自分が障害年金を受け取れるか?」を左右する判断軸です。
具体的には、以下の項目です。
- 初診日がどこにあるか
- 保険料の納付状況はどうか
- どんな障害の状態か
- 【補足あり】就労・収入はどの程度か
それでは、上記の判断軸について順番に見ていきましょう。
初診日がどこにあるか
初診日とは、障害の原因となった傷病について最初に医療機関を受診した日です。
初診日にどの年金制度に加入していたかで、受給できる年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)が決まるため重要な項目です。
たとえば、初診日時点で会社員など厚生年金に加入していれば障害厚生年金(+障害基礎年金)の対象になります。初診日が国民年金加入中(自営業や学生等)であれば、障害基礎年金の対象です。
また初診日は、保険料納付要件の基準日にもなります(初診日の前日までに納付要件を満たしているか確認)。
さらに初診日から1年6か月後が障害認定日となるため、初診日が定まらないと障害認定日も定まりません。障害認定日
障害の状態を定める日のことで、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。
なお、初診日から1年6カ月以内に、次に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となります。
引用元: 日本年金機構「さ行 障害認定日」
このように「いつ・どの病院で」が初診日なのかを確定させることがスタートです。
受診歴が複数ある場合は、基本はその障害の原因となった症状で一番初めに受診した医療機関の日付です。
カルテ保存期間が過ぎて初診日証明が困難な場合でも、第三者証明など代替手段もあります。
初診日は制度の根幹なので、必要なら専門家の力も借りて慎重に整理しましょう。保険料の納付状況はどうか
障害年金は社会保険制度の給付なので、保険料を一定程度納めてきた人でないと受給できません。
具体的には、初診日の前日までに年金加入期間の3分の2以上で保険料を納付(免除含む)していることが原則要件です。障害基礎年金の受給要件
次の1から3のすべての要件を満たしているときは、障害基礎年金が支給されます。
障害の原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間にあること。
国民年金加入期間
20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当していること。
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
ただし、初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。
引用元: 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
ただし初診日が令和18年3月末までの場合は特例として、初診日前日時点の直近1年間に未納がなければOKという緩和措置もあります。
いずれにせよ現在の収入や貯金額ではなく、過去の保険料納付実績で権利の有無が判断されます。20歳前に初診日がある障害基礎年金の場合は納付要件不要なものの、それ以外ではこの条件を満たさないといかに重い障害でも受け取れません。
不安な方は年金事務所で自分の納付状況(ねんきん定期便の内容など)を確認しましょう。
納付要件さえ満たしていれば、無収入でも高収入でも関係なく障害年金の権利があります。どんな障害の状態か
障害年金で問われるのは現在の障害の程度です。
病名そのものではなく、日常生活や就労にどの程度支障があるかで等級が決まります。
ほとんどの傷病が対象になり得るものの、重要なのは症状が生活に及ぼす影響の深刻さです。
たとえば、うつ病や統合失調症など精神疾患、糖尿病やがんなど、一見障害と結びつきにくい病気でも、症状が重ければ障害年金の対象になります。制度上の等級は障害基礎年金では1級・2級、厚生年金には3級(+一部障害手当金)まであります。
1級は日常生活に全面的な介助が必要、2級は著しい制限がある、3級(厚生年金のみ)は労働に制限がある程度という基準です。
ポイントは、「○○という病気だから〇級」ではなく、その病気によってどれだけ生活が困難になっているかです。
したがって、医師の診断書や申立書でも「日常生活動作」や「労働能力」について詳細に記載することが重視されます。この観点を押さえておけば、「自分の病気だと無理では?」と早合点する必要はありません。
障害者手帳を持っていなくても受給でき、逆に手帳等級と年金等級が一致しないこともあります。
要は現在の生活上の困難さを適切に伝え、医師にも反映してもらうことが重要です。【補足あり】就労・収入はどの程度か
「障害年金は働いているともらえないのでは?」「収入があると不利なのでは?」といった声も多く聞かれます。
実際、働いた場合にどう扱われるのか分からない点は、障害年金を難しく感じる要因の一つです。
この論点は申請要件や書類準備とは別軸であり、事前に整理しておかないと判断を誤りやすい部分でもあります。
しかし結論から言えば、次のように、働いているから即不支給という単純な話ではありません。
- 働いている事実だけで不利になるわけではない
- 収入額だけで判断される仕組みではない
- 就労状況は診断書と整合して見られる
- 働き方を変えた後に状況が変動する場合がある
それでは、就労・収入と障害年金の関係などについて、それぞれ補足説明していきます。
働いている事実だけで不利になるわけではない
「仕事をしている=障害年金はもらえない」わけではありません。
就労の有無「だけ」で機械的に決まるものではなく、就労の内容(配慮の有無、勤務の安定性等)も含めて総合的に見られます。
極端な話、フルタイムで働いていても障害状態が等級に該当し、他の要件を満たせば受給は可能です。
実際、障害年金を受給している人の中にも働いている方は少なくありません。厚生労働省が2019年に、国民年金・厚生年金の障害年金受給者を対象に行った年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)によれば、65歳未満の受給者の就業率は約43%という結果が出ています。
審査では「働いているか否か」ではなく、「その障害ゆえにどのような配慮や制限下で働いているか」まで見ます。
たとえば、短時間勤務で頻繁に休みが必要とか、特別なサポートを受けて何とか業務についている場合、それは単に働けているとは言えない事情として考慮されます。
したがって、「働いている=不利」と早合点せず、具体的な就労実態を踏まえて判断されると理解しましょう。収入額だけで判断される仕組みではない
障害年金には基本的に収入制限はありません(20歳前障害の特例を除く)。
極端にいえば、年収が高くても障害の程度が重ければ受給でき、無収入でも障害状態が軽ければ不支給となります。
たとえば、精神障害でフルタイム勤務・高収入を得られているとしたら、「安定して働けている=障害状態が軽減している可能性が高い」と見なされる可能性もあるのです。
そのため、審査では収入の多寡というより、その背景事情(勤務形態や継続性)に目を向けます。なお、例外的に20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限があります。
本人の所得が一定額を超えると年金が減額・停止される仕組みで、通常のケース(初診日が20歳以後)には当てはまりません。
障害年金の支給は収入額そのものではなく、障害の状態や保険料納付状況によって判断されます。したがって、収入を意図的に隠したり減らしたりする必要はありません。
就労状況は診断書と整合して見られる
就労の有無や内容については、診断書の記載内容との整合性が重視されます。
医師の診断書には「就労状況」や「日常生活能力」の欄があり、審査では診断書の記載内容と実際の働き方に矛盾がないか確認されます。
たとえば、診断書で「日中はほとんど家事もできず外出も困難」と書かれているのに、実際にはフルタイムで働いているとなれば不自然です。
つまり、自分の働き方と医師の見立てに食い違いがないかが大切です。
不支給になったケースでは、「診断書では重度とあるが本人が『毎日きちんと働いている』と申立書に書いてしまったため信用性が落ちた」例もあります。
そうならないよう、医師には現実の就労状況(勤務時間や配慮内容、困難さ)をしっかり伝え、診断書に反映してもらうことが重要です。
審査側も、診断書と本人の実態説明が噛み合っていれば、理解を得られやすくなります。働き方を変えた後に状況が変動する場合がある
就労開始や働き方の変更がきっかけで、症状や生活への影響が変化するケースもあります。
たとえば、復職・就職した途端に体調が悪化し、改めて障害の程度が明確になることがあります。
また逆に、環境が整った職場で短時間働くようになって調子が安定するといった場合です。
障害年金の制度上、そうした状態の変化も無視されず評価に影響します。具体的には、年金を受給中であれば次回更新時の診断書でその変化が反映されます。
申請前であっても働き始めた結果症状が悪化したなら、申請タイミングを工夫するなどの策が必要です。
更新時には「働いているから切られる」という単純なものではないものの、働き方によって「以前より症状が軽くなった」と判断される可能性はあります。
無理のない働き方を選び、医師にも正確に状況を伝えてもらうことが重要です。なお、状況が悪化した場合は額改定請求(等級を上げる請求)も可能です。
このように、障害年金は受給開始後も就労状況や健康状態の変化に伴い調整され得る制度だと押さえておきましょう。障害年金が難しいと感じた場合によくある質問
ここからは、実際のご相談でも特によく出る次の3つの疑問を取り上げます。
- 何から手を付ければいいの?
- 不支給や低い等級になったらどうすべき?
- 受給後に更新や支給停止が起きるのはなぜ?
それでは、順を追って疑問にお答えしていきます。
何から手を付ければいいの?
初めて障害年金にチャレンジする際、「結局まず何をすれば?」と戸惑う方が多いです。
申請前後で気持ちが落ち着かないときほど、最初の整理が重要になります。
行動の順番を明確にすることで、不安が具体的な作業に変わっていきます。
焦らず一つずつ進めていきましょう。
- 事実関係を書き出す
- 分からない点を切り分ける
- 一人で抱え込まない
それでは、上記のステップについて詳しく見ていきましょう。
事実関係を書き出す
まず取り掛かりたいのは、事実関係(経過)の書き出しです。
障害年金を考える上での「事実関係」とは、受診歴・通院先・症状の変化など、自分の障害に関する客観的な経過のことです。
事実関係を時系列に沿って書き出すだけでも、状況の全体像が把握しやすくなります。具体的には、最初に受診した病院から現在までの通院歴をリスト化します。
年月日、病院名、主な症状や出来事(転院や入院など)を箇条書きにしましょう。
そうすることで初診日も特定しやすくなり、申立書を書く際にも参考になります。分からない点を切り分ける
全部が漠然と不明な状態でも、少し掘り下げれば「自分はここが分からない」と特定できるポイントが出てくるはずです。
たとえば、「初診日がはっきりしない」「診断書の依頼方法が分からない」「自分が何級に該当しうるか見当がつかない」などです。
そうした不明点を箇条書きにしてみると、次に何を確認すべきかが明確になります。
たとえば、「初診日の調べ方」が分からなければ年金事務所や当時の病院に確認してみる、「等級の目安」が分からなければ専門家のサイトや資料を参照する、といった具合に次のアクションが定まります。
漠然とした不安を小分けにしていくイメージです。一人で抱え込まない
障害年金の手続きは、決して一人で完結しないようにできています。
医師の診断書作成には第三者の協力が必要で、初診日の証明でも当時の病院や第三者の証言が関与します。したがって、分からないことや不安なことは家族や専門家に遠慮なく頼りましょう。
家族と一緒に書類を整理すれば記憶が蘇り、経験豊富な社労士に相談すれば有益なアドバイスが得られます。
第三者の視点が入ることで精神的な負担も軽減します。
特に精神疾患の方など、昔のことを思い出すだけでもつらい場合があるため、信頼できる人と一緒に進めることをおすすめします。不支給や低い等級になったらどうすべき?
申請の結果が不支給(受給不可)だった場合や、希望より低い等級で認定された場合は、落胆して「やはり障害年金は難しい…」という印象が一層強まる局面です。
ただし、この段階にはこの段階なりの見直しの手順があります。
適切に対処すれば、受給の可能性を取り戻せるかもしれません。
結果通知後に取るべきステップとして、次が挙げられます。
- 決定内容を正確に読み解く
- 段階と期限に注意して不服申立てする
- 追加資料を使う
- 不支給が確定したわけではないと理解する
以上のポイントについて、順に確認していきましょう。
なお、届いた通知書の読み取りや不服申立て期限の整理などでお困りの場合は、社会保険労務士事務所ダブルブリッジが次の手順の整理からご相談を受け付けています。決定内容を正確に読み解く
最初にすべきは、通知書に記載された決定内容(理由)を正確に読み取ることです。
感情的にはショックでも、どの要件が満たされなかったのかを知らなければ次の対策が立てられません。
不支給となった理由を特定することが重要です。
「初診日が確認できないのか」「診断書の内容評価か」「納付要件か」など、通知書に簡潔に書かれた不支給理由を把握しましょう。通知書には詳細な経緯までは書かれていないため、必要に応じて年金事務所に問い合わせたり、「保有個人情報開示請求」で認定調書(審査経過の記録)を取り寄せることもできます。
たとえば、診断書の記載不足が原因なら医師に追記をお願いする、初診日の証明不足なら別の資料を探す、等級判断の問題なら生活状況の補足を検討する、といった具合です。段階と期限に注意して不服申立てする
結果に納得がいかなければ、不服申立て(審査請求・再審査請求)を検討します。
不服申立てには2段階あり、まず年金機構等に対する審査請求、それでもダメなら厚生労働省の審査会に対する再審査請求となります。
重要なのは期限で、審査請求は決定を知った日から3か月以内、再審査請求は審査請求結果の通知を受け取った日の翌日から2か月以内と定められています。年金の決定に不服があるときは、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に文書または口頭で、地方厚生局内に設置された社会保険審査官に審査請求することができます。
その決定に対してさらに不服があるときは、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に社会保険審査会(厚生労働省内)に再審査請求できます。
なお、決定の取消の訴え(行政事件訴訟等)を起こす場合は、原則として、審査請求の決定を経た後でないと提起できません。
引用元: 日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」
不服申立てでは、処分の取り消し(または変更)を求める理由を文章で提出します。
審査請求は書面審理で、再審査請求になると公開の場で主張を述べる機会もあります。
いずれにせよ、一度不支給となったものを覆すには新たな主張や証拠が不可欠です。
ただ単に「納得できない」ではなく、たとえば、「○○の資料により初診日が証明できた」「診断書を補完し障害状態がより明確になった」等、具体的な理由を示す必要があります。なお、不服申立ての書類作成や手続きに不安があれば、社労士や弁護士などの専門家に依頼することもできます。
期限だけは逃さないよう注意し、準備を進めましょう。追加資料を使う
不支給後の再チャレンジでは、前回提出しなかった新たな資料を活用することがポイントです。
審査請求や再審査請求では、基本的に申請時の資料に加えて新証拠を提出可能です。あるいは改めて再申請(新規の請求をやり直すこと)を選ぶ道もあります。
いずれの場合も、同じ内容を繰り返しても結果は変わらないため、診断書や申立書の記載を見直したり、追加の医証・証拠を揃えることが重要です。具体的には、医師により詳細な診断書を書いてもらう(生活機能の評価を詳述してもらう、追記してもらう等)、日常生活状況の報告書等を提出する、あるいは専門家の意見書を添えるケースもあります。
また、不支給理由が初診日や保険料にあったなら、第三者証明の取得や未納保険料の追納(追納できる期間内であれば)などの対応策も考えられます。再申請を選ぶ場合、前回不備だった点をすべて洗い出し、ゼロから書類を作成し直すくらいのつもりで挑みましょう。
一度不支給になると心理的に負担ですが、資料を充実させれば道が開けるケースも少なくありません。不支給が確定したわけではないと理解する
大切なのは、一度の不支給で全てが終わりではないということです。
実際、不支給決定後に審査請求で覆った例や、再申請で受給にこぎつけた例もあります。
制度上も不服申立てのプロセスが法定されているのは、「再度検討される余地」をあらかじめ認めているからです。もちろん、不支給のまま確定してしまう場合もあります。
しかしそれはあくまで現時点で条件を満たさなかったというだけのことです。
不支給通知が届いたからといって「あなたは永久に障害年金ダメです」と宣告されたわけではありません。
状況が変われば将来受給できる可能性もあり、認定内容に不服があるなら上記のとおり異議申立ての道があります。「まだ終わりじゃない」「次にできることがある」と思って、できれば専門家の力も借りながらできる限りの対応を取ってみる価値はあります。
希望を捨てず、一歩ずつできることを進めましょう。受給後に更新や支給停止が起きるのはなぜ?
障害年金を受給できた後も、「将来、更新で等級が下がったり、年金が止まったりするのでは?」という不安を耳にします。
ここでは、更新や支給停止が起こり得る理由を解説します。
- 更新の有無があらかじめ決められているため
- 状態の変化が書面で確認されるため
- 生活実態の変化が影響するため
- 更新では停止や等級変更が普通に起こるため
それでは、障害年金受給後の更新・支給停止に関する不安について見ていきましょう。
更新の有無があらかじめ決められているため
障害年金の更新(継続審査)があるかどうかは、裁定時点で既に決められています。
年金証書(支給決定通知)の「次回診断書提出年月」欄に次回の診断書提出期限が印字されていれば有期認定、何も記載がなければ永久認定です。
有期認定の場合、1年ごと~最長5年ごとに更新が必要で、その周期は受給者ごとに異なります。したがって、受給が決まった際には自分の年金が有期か永久かを必ず確認しましょう。
多くのケースは有期認定で、一定期間ごとに状態を確認する扱いです。
一部、症状が永久に固定とみなされる場合のみ更新なし(永久認定)となります。
更新有無はあらかじめ決まっているので、「更新があるなんて聞いてない!」ということには本来なりません。
年金証書や通知書に明記されているため、最初に把握しておくことが大切です。状態の変化が書面で確認されるため
有期認定の場合、一定期間ごとに障害状態の確認が行われます。
具体的には、次回診断書提出期限の3か月前に日本年金機構から障害状態確認届(診断書)が送られてきます。
障害状態確認届(診断書)は、現在の障害の程度を医師に記載してもらうための書類です。
受給者は主治医に診断書を書いてもらい、期限までに提出します。
機構はその診断書の内容を審査し、当初より改善したかどうかなどを判断します。ポイントは、書面(診断書)で状態の変化を確認するという点です。
自覚症状や口頭の申告ではなく、あくまで医師が記載した内容と客観的な資料で審査されます。
したがって、良くなっていると医師が判断すれば等級が下がったり支給停止されたりすることがあります。逆に、状態が悪化していれば等級が据え置かれたり、場合によっては引き上げられることもあるのです。
更新に臨む際は、初回申請時と同様に医師への伝え方が重要です。
改善していないのに軽く書かれてしまうと不利益を被り、逆に改善しているのに重く書いてもらうことも適切ではありません。
現在の状態を正確に伝え、診断書に反映してもらうよう心がけましょう。生活実態の変化が影響するため
障害年金の更新審査では、医師の診断書だけでなく生活実態の変化も考慮されます。
たとえば、次の変化は、診断書の所見や日常生活能力の欄に反映されます。
- 前回より働ける時間が増えた
- 家族のサポートなしでできることが増えた
- 逆に新たな不調で生活がさらに困難になった
そうした生活上・就労上の変化が評価に影響します。
特に就労状況の変化はわかりやすい指標の一つです。
更新時の診断書には就労状況欄もあり、前回から就労環境が変わっていれば記載されます。
働き方によって「障害の程度が軽くなった」と判断されることもあります。
たとえば、前回は働いていなかった人が今回はフルタイムで働いているとなれば、改善方向と見られるといった具合です。
一方、就労を始めたものの体調を崩して退職してしまった場合などは、むしろ障害の影響が改めて確認される材料になります。このように、受給中であっても生活実態は固定されたものとして扱われません。
受給中でも、体調に合わせて働き方を見直すことが大切です。
更新では停止や等級変更が普通に起こるため
更新の結果として支給停止(受給権はあるが支給が止まる)や等級変更(たとえば、2級から3級へ)が生じることは、制度上想定内の出来事です。
こうした出来事は決して稀なケースではなく、障害状態が改善すれば当然起こり得て、悪化すれば逆のケース(等級が上がる、停止解除)も起こり得ます。大切なのは、支給停止=申請行為が否定されたわけではないという理解です。
支給停止は「その時点ではもう障害年金を支給する程度ではない」という判断にすぎません。
受給権自体は存続しており、その後再度状態が悪化すれば支給再開もありえます(実際、停止後に症状が悪化して再開された例もあります)。
等級が下がった場合も同様です。更新結果に不服がある場合、不服申立て(審査請求等)の対象になり、症状悪化時には額改定請求で挽回も可能です。
近年の議論では「フルタイム就労=不支給」とすべきではないとの流れになってきており、社会の実情に合わせて運用も改善されています。
いずれにせよ、更新での判定もプロセスの一環であり、必要以上に恐れることはありません。障害年金が難しいと感じても必要以上に怖がらなくてOK!困ったら社労士に相談しよう
「障害年金が難しい」と感じる背景には、判断軸が複数あること、書類の役割が細かく分かれていること、結果が出るまで時間がかかることが重なり、どうしても全体像が見えにくくなる事情があります。
大事なのは、思いつきで動くより「事実の整理」「分からない点の切り分け」「医師への伝達内容の整備」を先に揃えることです。
そうすると、手続きの難しさは漠然とした不安から「確認すべき事項」へと変わっていきます。
必要以上に怖がることはありません。
ぜひ本記事の内容を参考に、一つひとつ準備を進めてみてください。
それでも「やっぱり大変だ」「自信がない」という場合は、専門の社労士に相談するのも賢明です。社会保険労務士事務所ダブルブリッジには、社会保険労務士4名を含む9名の専門スタッフが在籍しています。
障害年金の裁定請求(初回申請)について、最適な申請時期のアドバイスから書類作成、年金事務所対応まで一連の手続きを代行・サポートしています。
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